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遺言書作成入門

遺言の種類

遺言の種類

遺言の方式には、一般的な方式としては次の3種類があります。

①自筆証書遺言書

②秘密証書遺言書

③公正証書遺言書

それぞれ特徴があり、長所・短所がありますので、遺言者の状況などを考慮して選択することが望ましいでしょう。

いずれにしても、遺言は法律の定める方式に従ってなされなければなりません。

 

 

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が自らの手で、遺言内容の全文日付氏名を書き、押印して作成する遺言書のことです。この遺言書は、あくまで自分の手で書かなければならないので、ワープロ等で作成した場合は無効です。

また、日付は、平成23年5月18日のように特定できるものでなくてはなりません。吉日では無効です。押印は認印でもかまいませんが、できれば実印が好ましいでしょう。拇印でもよいとされています。

長所は、誰の手もわずらわせないで、気軽に作成できること。費用がかからないことです。また、遺言書の作成を秘密にしておくことができます。

短所は、紛失したり、毀損したり、偽造されたりする危険性が否めないこと。気をつけていても、方式に合わずに無効になってしまうことがままあること。相続が発生しても発見されない可能性があることなどです。

なお、遺言者が亡くなった後、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません。その際、封印されていれば、開封しないで提出します。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言者が遺言の内容を誰にも秘密にしときたいときに作成するものです。遺言書はワープロで作成してもよく、それに署名捺印して、封書に入れて、証書に用いた同じ印鑑で封印して、公証役場に持参します。遺言者は、公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書であること、遺言書の筆者の氏名、住所を申述します。公証人は、その証書の提出の日付、遺言者の申述を封紙に記載し、遺言者および証人とともに署名押印して作成します。

つまり、この遺言書は、公証人により、確かに本人のものと証明してもらえるのです。

この遺言書も、遺言者が亡くなった後、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません。

長所は、遺言書の内容を秘密にしておけること、間違いなく本人のものであると明確にできること、比較的費用が安くすむことです。

短所は、内容は確認されないので、法律的に不備があったり、紛争の種になったり、無効になる危険性があることです。また、紛失や、毀損、死後発見されないという可能性もあります。

公正証書遺言

公正証書遺言は、3つの方式のなかで最も安全確実な方式といえます。

作成の手順は、以下の通りです。

証人2人以上の立会いのもとで、

遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述し、

公証人が遺言者の口述を筆記し、

これを遺言者および証人に読み聞かせまたは閲覧させ、

遺言者および証人が筆記の正確なことを承認した後、各自が署名押印し

公証人がその証書は方式に従って作成したものである旨を付記してこれに署名押印する

実際には、いきなり公証人の前で遺言者が口述することはなく、事前に公証人と相談し、必要な助言を受けながら、内容を決めていきます。

長所は、公証人が関与するため、方式不備の理由で無効となったり、意味不明のため後日紛争になることがほとんどないこと。文字が書けなくても作成可能であること。

原本は公証役場で保管されるため、その存在が明らかで、紛失・改変のおそれがないこと(公証役場で、利害関係人の要望により検索に応じてもらえます)。

遺言者が亡くなった後、家庭裁判所での検認は必要ないこと。

病気などで出歩くことができなくても、公証人に自宅や病院に出張してもらえること。…などです。

短所は、費用がかかることです。

公正証書遺言は安全確実な方式ですが、費用の面から気軽に何度も作成するのは難しいので、とりあえず自筆証書遺言書を作成し、最終的に公正証書遺言書を作成するのもひとつの方法です。

ただし、いろいろな状況が考えられますので、どの方式にするかは専門家に相談されることをお勧めします。

当オフィスでは、お客様との相談、調査、公証人との交渉、原案作成、証人など、トータルで遺言作成をサポートいたします。